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 肥満は「現代の伝染病」 
 古郡 鞆子(S40年商)
50年も昔、ニューヨーク(ロチェスター)に滞在したとき、細くて高いというのがアメリカ人の印象でした。10数年ほど前にサンフランシスコ(バークレー)に滞在すると「みんな太ってる!」となりました。身長の高低の感想には東海岸側の白人中心の街とラテン系やアジア系が多い西海岸側の街という違いもあったと思いますが、いまのアメリカ人はだれかれを問わずみんな太っています。
 世界保健機構(WHO)はBMI(Body Mass Index)によって人の体型を区分しています。BMIは体重(㎏)を身長(m)の2乗で割ったものですが、欧米ではBMI≧30を「肥満」としています。たとえば、身長が160㎝、体重が75㎏の人はBMI=29.3で肥満一歩手前の正常体重の人になります。みなさんは?  
 日本ではBMI≧25を肥満としています。この定義に従うと、アメリカの成人の7割近くが肥満者です。その約半分はBMI≧30の人です。BMI≧40の「超肥満」者も4%います。これは160㎝の人だと体重が102㎏以上もあるということで、アメリカ人25人に1人がこの中に入ります。カナダ人やドイツ人は6割前後、 イギリス人やフランス人は5割前後が肥満者(BMI≧25)です。 対して日本の肥満者は男性で3割弱、女性で2割弱ほどです。とはいえ、他山の石、今日の社会状況を考えると日本もいつまで肥満小国に止まっていられるでしょうか。
 肥満の最大の要因は食べ物です。かつて食料はつくるものでしたが、いまは買うものとなりました。食事もかつては家庭でつくるものでしたが、いまは外食も多くなりました。そんな変化を考えてみたことありますか。もう「一家団欒」なんて遠い昔の話です。この言葉自体、死語となってしまったといっていいと思います。
 街に出れば安くておいしいものがたくさんあります。どこにいってもコンビニがあり、チェーンレストランがあります。今日では食事は時間に関係なく、いつでも、どこでも、何回でも、取れます。でも、安くておいしい食べ物は総じてカロリーが高く、これが太る原因となっています。このことから肥満は富裕層より貧困層の人々の間でより深刻な社会問題ともなっています。  アメリカの大統領には肥満者はいません。オバマ大統領のBMI は24くらいだったと思います。トランプ現大統領も欧米基準なら肥満者ではないでしょう。クリントン大統領は退任してからちょっと太り、日本の基準でなら肥満に入っているでしょう。アップルのスティーブ・ジョッブズ、マイクロソフトのビル・ゲイツ、アマゾンのジェフ・ベソス、ウォールマートのダグ・マクミロン、その他の経営者にも太っている人はまずいません。
 アメリカでは肥満者が雇用差別で裁判を起こしたり、太ったのはジャンクフードのせいだとレストラン(例:マクドナルド)を訴えたりしています。そんなこともあってマクドナルドでは全製品のカロリーを公表しています。そうしておけば、食べるも食べないもあなたの責任となります。
 肥満はあっという間に世界中に広がりました。そのさまを見てWHOは肥満を「現代の伝染病」だと宣言しました。多くの人が肥満のために健康を害し、命を落としていることを考えると、これは正に病気であり伝染病といっていいものでしょう。

 制限字数となりました。
        何はともあれ、みなさま、体重、そして健康にはお気をつけのほどを。

 


 

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