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杉並の風
 
 味と思い出
横田 順子 (S36 商)
 
味についてまず浮かぶのは会食の会の世話人をしていた時会員の先輩から紹介を頂いた築地たむらでのお汁と煮物です。ご紹介があって店主みずから料理を作り、接待をして下さいました。料理人によってこれほどまで味が違うのかと心底おどろきました。
初代店主の田村平治さんの著書に料理人の心得として、たとえ魚のうろこ一枚でも気を使わなければならない、もし残っていれば、その料理人は1日その鱗を額に貼って過ごさなければならない決まりになっていたようです。2代目店主も貼られることがあったと書かれていました。
 私も何人かの方に料理をお教えしましたが、同じ材料、レシピ、条件で作っても各班で味が違っているのが常でした。丁寧に料理をすれば、それだけ美味しいものができますが、日頃の料理で手抜きをしても肝心な点を抑えていればそれなりの味になると思います。
 食いしん坊の私の思い出は食べ物と一緒にその風景が浮かびます。
幼い頃過ごした中国、天津で食べたエクレアの味、生演奏付きの喫茶店の光景が目に浮かびます。未だにその時のエクレアに出会っていません。
 戦争中て食べ物がなく、母の郷里でのじゃがいもの入ったご飯の美味しかったこと、茶の間と、おひつが浮かびます。
 学生時代のワンデリングで地元高知でご馳走になった皿鉢料理も忘れられませんが、それにもまして思い出すのは、土砂降り中、カッパを着て外で食べたお味噌汁、飲んでも、飲んでも減らず、どんどん薄まっていった味も又忘れられません
 子供のころ私の書く絵は皆食べ物であったと母に言われたことがあります。今も変わらず食いしん坊の私、お医者さまに体重を減らすように言われながら、今もおいしいものに目がなく、食べなくて何が人生と思いながら生きています。
 


 

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