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杉並の風Ⅱ

庭師(植木屋)になってしまった!!
永坂 和也(S39法)
「日頃ハサミは持ち慣れているが、ペンを持つには些か気が重くなって」なんて一人前の口を利くようなりましたが、今や私も庭師(植木屋)になってしまいました。
子供の頃から草花や樹木に興味があったせいか、猫の額どころか鼠の額にも満たない我が家の庭木の手入れができるようになればと思っていたところ、たまたま近所の当地でも指折りの老名庭師と出遭い、師事したいと頼み込んだのがきっかけでした。在職中は休日を、もう一つの趣味でもある山登りの日程とやり繰りしながら、昔気質の老師匠の厳しい指導の下に先ずは片付け、掃除に始まり、様々な樹木の刈込み、剪定から下草等あらゆる庭木の手入ればかりではなく、垣根造りや塀造り、袖垣造り、石組や躊鋸やら筧造り等々の凡そ庭仕事のすべてに亙る修業を始めました。

四つ目垣を造っているところ
趣味が高じて始めたつもりが知れば知る程、庭仕事の奥深さにのめり込み、やがて退職後は、本気で何とかして庭師(植木屋)をやれないかと思うようになっていたのです。庭園技能講座の通信教育を受講したり、「庭木の手入れ」や「庭木の剪定と整枝」やら 「日本庭園」等のタイトルの本があれば片端から読み漁ったりで、益々庭仕事の面白さや楽しさの深みに嵌まっていきました。

退職後しばらくすると師事していた老名庭師から「俺も80も過ぎたから、もうやめるよ、お得意先を全部お前ぇにやるからやってみねぇか!」と言われ、何かどう気に入られたのか、他の弟子達もいたのにすべての地盤を私に無償で譲ってくれました。
瓢箪から独楽が出たようなもので、私もうかうかしていられなくなり、二連梯子やら大小の三脚等の道具一式(これがなかなか大変で種類が沢山あります)を揃える一方、遂には軽トラックまで調達、庭師仕事にいよいよ没頭することになってしまいました。お蔭で家内からは軽トラックが庭に並べてあるのは家の品格が落ちてみっともない(大した家でもない癖に!)と散々です。

それまでは、師匠の影にいられたのが独り立ちするとなると尚一層の勉強もしなければなりません。
そこで今でも時間を作っては京都のあちらこちらの庭を度々訪れるのは勿論、日本全国各地にある国指定の名勝庭園等も片端から訪れ庭の手入れの実際を具に観たり、景物(灯篭や石組、踏み石等)の配置等を学んでいます。
また、日当どころか交通費も出ませんが、文字通りの手弁当で東京都庭園管理作業ボランティアとして、月2回程は国分寺にある都立殿ケ谷戸庭園で、その他六義園、小石川後楽園、浜離官等で気鋭の名庭師に師事しながら技能向上を目指しながら庭園の管理作業に従事しています。
「花と緑の会」剪定講習会 2009.09.08 
お蔭で最初は、もう一つの趣味である登山の費用でも捻出出来ればと気軽に始めたつもりが、今や9月頃から年末までは、次から次と当てにして下さるお客様のお宅のお庭の手入れに追われ秋山山行どころではなくなってしまい、何とも本末転倒の次第です。
私は、これからも老師匠の教え通り、「早くて、きれいで、丁寧な仕上がり」を日頃の心掛けにして、お引受けしたお宅のお庭の手入れを楽しみながらやっていきたいと思っています。



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